デザイン画の大切さ
デザイン画での確認をせず、雑誌の切り抜きやラフスケッチ、口頭のやりとりだけでジュエリーを制作するのは、大変危険です。
『ちょっと』とはどのぐらいちょっとなのか?『薄く、厚く』はどのぐらい薄く、厚くなのか? 人の感覚はみな違います。ですから原寸大のデザイン画で確認します。
また、デザインを描くのはデザイナーですが、そのアイデアの源となるのは、お客様のご希望とキャラクターです。お洋服の趣味や生活スタイル、ご予算など、ざっくばらんにお伝えください。良い物を作るための共同作業に、ぜひご協力をお願いいたします 。
スタールビーのペンダント
豪華なジュエリーに使われることの多いスタールビー。しかしゴージャスすぎるジュエリーは、登場機会が少なくなりがちです。そのため少しだけカジュアルダウンして、あらたまった席からお仕事の場まで、使える範囲の広いペンダントをテーマにデザイン。
トロンとした輝きが魅力のスタールビーには、ダイヤモンドのようなキラキラ感はないため、シンプルすぎるデザインでは安っぽく見えてしまう恐れも。スタールビーの持つ高貴なイメージを壊さず、どの程度までカジュアルダウンするのか?、そのさじ加減に大変気を配りました。またお仕事時の服装を拝見し、襟元に隠れない、ちょうど良いトップの位置と大きさを考慮しています。
”婚約指輪
楽器屋さんにお嫁入りするお客様とご主人様から、「ト音記号をイメージした婚約指輪を」とご依頼をいただきました。家族会議の結果、お選びいただいたのが中央のデザインです。
サイドからダイヤモンドへ繋がる曲線でト音記号を表現し、ポイントにピンクダイヤを配置。これによりブライダルジュエリーらしい華やかさが増し、可愛らしい雰囲気のお客様にぴったりな婚約指輪となりました。
翡翠の指輪
とかく”和”のイメージが強い緑の翡翠。ですがこんな”洋”の雰囲気の指輪なら、着物でも洋服でも合わせやすいのではないでしょうか? この指輪をきっかけに、お客様のお洋服のコーディネートが広がって、ファッションをより幅広く楽しんでいただけたら・・・そんなことを願ってデザインしました。
石の曲線から指輪の腕へと繋がるラインはとてもスムーズで、引っ掛かりや出っ張りが無く、最高の着け心地です。また、翡翠の柔らかな緑色がゴールドとよく馴染み、品の良い高級感も出ていると思います。
デザイン画を描く意味
デザイン画とは、ジュエリーの『設計図』。既成枠を使用しないオリジナルなジュエリーをお作りする場合、デザイン画の役割は大変重要です。
- •デザインの可視化。お客様、デザイナー、職人が同じイメージを共有
- •正確な見積もりを計算するため
- •職人がジュエリーを制作する、まさに『設計図』として
- •製作の順番の確認。危険を避け、完成度を高めるため
私がデザインをご提案する際に気を付けていること
•お客様の“想い”や“ご希望”を探る作業
「どんなデザインが良いか決まっていない」
「自分に似合うデザインが分からない」
お客様の気持ちに寄り添い、じっくりお話をお聞きします。
•ジュエリー全般の知識と経験に基づき、宝石の強度や地金の特性などをしっかりとご説明
お客様の間違った知識や思い込みがありましたら、ご説明させていただきます。「お客様の言うとおりにやりました。その結果、良い物が出来ませんでした」では良いジュエリーが出来るはずがありません。
•知らない事は謙虚に教えていただく姿勢